めぐる風の旅


―すると胸がさらさらと波をたてるやうに思ひました。
 けれども又じっとその鳴って吠えてうなってかけて行く風をみてゐますと今度は胸がどかどかなってくるのでした。
 昨日まで丘や野原の空の底に澄みきってしんとしてゐた風が今朝夜あけ方俄かに一斉に斯う動き出して
 どんどんどんどんタスカロラ海床の北のはじをめがけて行くことを考えますと
 もう一郎は顔がほてり息もはあ、はあ、なって自分までが一緒に空を翔けて行くやうな気持ちになって
 胸を一ぱいはって息をふっと吹きました。―

                          童話「風の又三郎」よりー 宮沢賢治


d0334825_00275966.jpg



d0334825_00273157.jpg


 大雑把に言えば地上の風というのは南から吹いてきて北の果てへと向かうそうだ。
南とは「赤道」付近のことであり、北の果てとは「ベーリング海」の辺りだろう。
賢治の言う「タスカロラ海床」とはこのへんを言っているのだ。
台風や低気圧の終点の駅でもある。
 
 ベーリング海付近に集まった風は上昇を始め、今度は南をめざす。
もちろん終点は赤道付近となる。(電車の上りと下りみたいなもの)

 風は熱を北へ運び、冷たい空気を南へと運ぶ。そして私達に心地よい最適な環境を与えてくれるのです。
こんな大気の大循環、風の旅が未来永劫続いて欲しいと思う。

 それにしても賢治は、北へ向かう風になにを思うのだろう。
人々の行きつく先をその場と定めたのだろうか?
そこに行けば懐かしい人達に会えると決めたのだろうか?

 キーワードは北の海と、そこから登ってゆく風の旅にありそうだ・・・。




[PR]
トラックバックURL : http://monadonox.exblog.jp/tb/24593269
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by marucox0326 at 2017-06-24 12:49
こんにちわ。

学生時代、地理地学が超苦手だったので、
「大気の循環」という言葉を聞いただけで、構えてしまいます^^;
その壮大な「風たちの旅」のおかげで、赤道付近と北極手前の温度差が
緩和されて、陸に住む私たちは最適な環境を得ることができる
・・・・ということでしょうか。

「風の又三郎」
童話としては噛みごたえのある作品だった記憶があります
小学校を一度だけですが転校した経験を持つ者には^^;

中学の時、何度目かの転校でやってきた女の子と仲良くなりましたが
やはりその子も少し変わっていました。
数か月でまた転校していったその子のことは、今でも時々思い出します。
Commented by warutorawa at 2017-06-25 15:53
> marucox0326さん
こんにちは。

地理地学はお好きではなかったのですか?
私も特別好きと言うわけでは、ありませんでしたよ。^^
ただ、最近の気象のあまりの激変に少し不安を持ち始めていましたから...

風の流れも、海流の流れも私達が生きていく上ではとても大切ですよね!
よその惑星みたいになったら大変ですから。(笑)

転校生というのは、自分の狭い世界に、何か新鮮な出来事を運んでくれる
特別な人に見えるんでしょうね、それが子供目線なのでしょう。
みんな持っていましたよね。





名前
URL
削除用パスワード
by warutorawa | 2017-06-24 00:30 | 宮沢賢治の世界 | Trackback | Comments(2)

四季折々の情景を気ままに写し撮って行きたい。気軽にお寄りください。