カテゴリ:宮沢賢治の世界( 37 )

めぐる風の旅


―すると胸がさらさらと波をたてるやうに思ひました。
 けれども又じっとその鳴って吠えてうなってかけて行く風をみてゐますと今度は胸がどかどかなってくるのでした。
 昨日まで丘や野原の空の底に澄みきってしんとしてゐた風が今朝夜あけ方俄かに一斉に斯う動き出して
 どんどんどんどんタスカロラ海床の北のはじをめがけて行くことを考えますと
 もう一郎は顔がほてり息もはあ、はあ、なって自分までが一緒に空を翔けて行くやうな気持ちになって
 胸を一ぱいはって息をふっと吹きました。―

                          童話「風の又三郎」よりー 宮沢賢治


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 大雑把に言えば地上の風というのは南から吹いてきて北の果てへと向かうそうだ。
南とは「赤道」付近のことであり、北の果てとは「ベーリング海」の辺りだろう。
賢治の言う「タスカロラ海床」とはこのへんを言っているのだ。
台風や低気圧の終点の駅でもある。
 
 ベーリング海付近に集まった風は上昇を始め、今度は南をめざす。
もちろん終点は赤道付近となる。(電車の上りと下りみたいなもの)

 風は熱を北へ運び、冷たい空気を南へと運ぶ。そして私達に心地よい最適な環境を与えてくれるのです。
こんな大気の大循環、風の旅が未来永劫続いて欲しいと思う。

 それにしても賢治は、北へ向かう風になにを思うのだろう。
人々の行きつく先をその場と定めたのだろうか?
そこに行けば懐かしい人達に会えると決めたのだろうか?

 キーワードは北の海と、そこから登ってゆく風の旅にありそうだ・・・。




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by warutorawa | 2017-06-24 00:30 | 宮沢賢治の世界 | Trackback | Comments(2)

気になる「ゴーシュ」



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とある帰り、バジルの苗が欲しくて紫波にある「ビューガーデン」に寄ってみた
店内の二階で「藤原嘉藤治」のパネル展が行われていたのでチョット覗いて見た
「藤原嘉藤治」とは宮沢賢治の親友であり、音楽と芸術において多大な影響を与えた人物である
彼は花巻高等女学校の音楽教師であり退職後は賢治全集の編集実務や「高村光太郎、草野新平」らと共に
編集にもあたった人物である
賢治作品「セロ弾きのゴーシュ」のモデルとなった人でも知られている(写真中でチェロを持った人物)
なかなかのイケメンでしょ(笑)



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で、問題がこのスケッチ画
作品の右側に藤原嘉藤治直筆でこう書かれている『十三年の秋 セロ弾きのゴーシュ(藤原)のスケッチ』
昭和十三年だと嘉藤治は東京で賢治全集の編集にあたっていたと思うし、勿論賢治は亡くなっている
この絵は嘉藤治の肖像画なのだろうか?それとも嘉藤治本人がゴーシュのイメージ画として描いたのか
作品の挿絵としてスケッチしたなら少し手が込んでいるし、本人が自分を書いたというのも若干違和感がある
そもそも嘉藤治本人に似ていないのです 当然賢治にもね
とにかく直筆の(藤原)の意味が分からないし、この絵の存在した意味もなんか今一なんです
そんな事を考えながらモヤモヤした一晩を過ごしてしまった
始めてこの絵を見たのが30年以上も前のこと
ときどき悪い虫がうずいてしまうのです(笑)

高村光太郎が溜息した懐かしい景色を眺めながら美味しいコーヒーを頂きました。







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by warutorawa | 2017-06-06 00:30 | 宮沢賢治の世界 | Trackback | Comments(0)

チューリップの彩




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17世紀ごろのオランダでは、チューリップが投資の対象となっていたそうな

中にはとても珍しい色彩を持った個体も現れ、その球根で豪華な家が買えるほどだったといいます

でも、今ではそのチューリップがウイルスで侵された個体だったと言われている

当時の欲深い人は懸命に数を増やそうと、無駄な努力をしたのでしょうね(笑)

でもじっと見ていると何だか宝石に見えてきたぞー

黄色が「トパーズ」で、パープルが「サファイヤ」でしょ、赤はもちろん「ルビー」

みんなまとめて「オパール」

いやいや、童話風になっちまったなー。 ^_^;



                             ー花巻 賢治記念館ー





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by warutorawa | 2017-05-10 00:30 | 宮沢賢治の世界 | Trackback | Comments(2)

銀河鉄道の午後




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「おや、こいつは大したもんですぜ。こいつはもう、ほんたうの天上へさへ行ける切符だ。 
 天上どこぢゃない、どこでも勝手にあるける通行券です。こいつをお持ちになれぁ、なるほど、
 こんな不完全な幻想第四次の銀河鉄道なんか、どこまででも行ける筈でさあ、
 あなた方大したもんですね。」

                                (銀河鉄道の夜 宮沢賢治)

一次元のレールを走ってきたSL銀河を、三次元の人々がお出迎え(時間軸は置いといて)

なんとも微笑ましい連休最終日のひととき

が、やっぱり苦手な鉄道写真、頑張るしかあるまい 


賢治の銀河鉄道は不完全な「幻想四次元」だと言っているが、はて? どんな世界なのだろう。(笑) 


                               

                                     ー新花巻駅ー


 


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by warutorawa | 2017-05-09 00:30 | 宮沢賢治の世界 | Trackback | Comments(0)

山猫の里




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ーそして玄関には、

RESTAURANT
西洋料理店
WILDCAT HOUSE
山猫軒

という札がでていました。
「君、ちょうどいい。ここはこれでなかなか開けてるんだ。入ろうじゃないか」
「おや、こんなとこにおかしいね。しかしとにかく何か食事ができるんだろう」
「もちろんできるさ。看板にそう書いてあるじゃないか」
「はいろうじゃないか。ぼくはもう何か食べたくて倒れそうなんだ。」
二人は玄関に立ちました。玄関は白い瀬戸の煉瓦で組んで、実に立派なもんです。・・・



                                 (注文の多い料理店より抜粋) 宮沢賢治


そんな童話のシチュエーションにピッタリな風景のような気がして

いろいろ探し回る風景も楽しいですね

ちなみに、西洋風の建物はゴルフ場のセンターハウスです

あしからず。


                                 ー花巻 石鳥谷ー


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by warutorawa | 2017-03-24 00:30 | 宮沢賢治の世界 | Trackback | Comments(0)

ぶらっと童話村




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ー黒と白との細胞のあらゆる順列をつくり それをばその細胞がその細胞自身として感じてゐて
それが意識の流れであり その細胞がまた多くの電子系順列からできてゐるので
畢竟わたくしとはわたくし自身が わたくしとして感ずる電子系のある系統を云ふものであるー

                              (黒と白との細胞のあらゆる順列をつくり) 宮沢賢治



賢治関連の施設や公園にくると、なぜかこんな風景ばかり切り取ってしまう

そんな自分にほとほと呆れてしまう

やれやれです(笑)


春とはいえ日がかげると 寒いのなんのって... 。








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by warutorawa | 2017-03-23 00:30 | 宮沢賢治の世界 | Trackback | Comments(0)

非日常




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ー曾つてわれらの師父たちは乏しいながら可成楽しく生きてゐた
そこには芸術も宗教もあった
いまわれらにはただ労働が 生存があるばかりである
宗教は疲れて近代科学に置換され然も科学は冷く暗い…

                          「農民芸術概論綱要」 宮沢賢治

最高の科学の暴走を止める技術はない
六年経った現在においても・・・3.11






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by warutorawa | 2017-03-11 18:28 | 宮沢賢治の世界 | Trackback | Comments(6)

めがね橋の冬




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賢治童話「銀河鉄道の夜」とイメージが重なると言われ
最近、写真撮影に特に人気のスポット

銀河鉄道の汽車が宇宙へと飛び立ってゆく
そんな心象風景が広がるのでしょうね

SL銀河が走るシーズンになると、県内外の撮り鉄さんがわんさかとやって来る
そして、恋人の聖地にもなっているとか・・・

このアーチ型の橋梁は賢治の時代には無かったものですが
現代的「銀河鉄道の夜」のモチーフとしてピッタシなのでしょう。




                           ー遠野 宮守ー



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by warutorawa | 2017-02-17 00:30 | 宮沢賢治の世界 | Trackback | Comments(0)

童話の彩(ヨダカの星)




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ー(それからしばらくたってよだかははっきりまなこをひらきました。
そして自分のからだがいま燐(りん)の火のような青い美しい光になってしずかに燃えているのを見ました。
すぐとなりは、カシオピア座でした。天の川の青じろいひかりが、すぐうしろになっていました。
そしてよだかの星は燃えつづけました。いつまでもいつまでも燃えつづけました。
今でもまだ燃えています。)-

                     童話(ヨダカの星)末文より



青白い光となって燃えたよだかの星は、1500年代にカシオペア座付近で観測された超新星爆発の光だという

その残光は現代においても電波望遠鏡で確認できるそうだ

童話自体は、ヨダカとして生まれてきた鳥の悲しい宿命が描かれているけど

ヨダカは賢治そのものなのでしょう

天文学あり、宗教観あり、父との確執やベジタリアン的自炊生活などなど

自分の生きざまを、ありありと表現した童話なのかな?






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by warutorawa | 2017-02-04 00:30 | 宮沢賢治の世界 | Trackback | Comments(4)

薄明




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「恋人が雪の夜何べんも黒いマントをかついで男のふうをして
わたくしをたづねてまゐりました
そしてもう何もかもすぎてしまったのです
ごらんなさい
遊園地の電燈が
天にのぼって行くのです
のぼれない灯が
あすこでかなしく漂ふのです」

                    ー古びた水いろの薄明穹のなかにー
                                  宮沢賢治


全く写真を撮れていません
このまま年を超しそうな感じだ
蔵出し写真です。^^;

当ブログを訪問して頂いた皆様
よいお年をお迎えください。


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by warutorawa | 2016-12-28 00:30 | 宮沢賢治の世界 | Trackback | Comments(4)

四季折々の情景を気ままに写し撮って行きたい。気軽にお寄りください。